★☆★ 1 ★☆★
【 荻野目洋子 / ユア・マイ・ライフ 】 |
心をそそるピアノのイントロ! この音と旋律には、周りに存在するありとあらゆるものを引き寄せる求心力があります。 「素晴らしい曲はイントロを聴いただけでも分かる」と、どこかで読んだ記憶がありますが、音楽が流れ始めた途端、その場の雰囲気を完全に塗り替えてしまうほどの強烈なインパクトが必要なのでしょう。 それがアレンジャーに課せられた第一の仕事かもしれません。 矢野さんは、この曲に限らず、常に華麗で斬新なイントロでファンを驚かせます。 様々なアレンジ曲を聴くたびに、矢野さんの輝くばかりの才能を実感せずにはいられません。 |
|||||
それにしても、「ユア・マイ・ライフ」の素晴らしさには絶句。 「完璧な芸術作品だ !!」と絶賛してしまいたくなります。 メロディもアレンジも荻野目洋子さんの歌唱力も抜群。
理想的とも言えるほど自然に歌を誘い込むイントロ。 続いて、歌とバックサウンドの位置関係が、まるで前世から運命づけられていたかのような調和を見せる序章。 シンバル音と「ユア・マイ・ライフ!」という言葉で、いきなり視界は開け、リズムとコーラスが華やかに歌を彩っていきます。 |
|||||
そして「あなたに出会うまで、優しさを信じなかった」のパートでさらにパワーアップするアレンジ。
『このピアノのシンプルな力強さ!! ピアノと歌とのコントラストの素晴らしさ!! 歌とピアノがぶつかり合い、弾け合い、スパークしてる!!!』 何というすごいアレンジなのだろうと思いました。 |
|||||
それだけではありません。 きらきらと燦めくようなバックコーラスには目眩がしそう……
矢野アレンジの特徴ともいえる熱く降り注ぐシャワーのようなコーラスが、パワフルなメロディをさらに燃え上がらせます。 |
|||||
中盤以降、歌のテンションは尚も段階的に上がっていき、止まるところを知りません。 エレキギターの間奏が入り、やがて歌はクライマックスに突入します。
全力疾走しつつも、決して一本調子などではない、「聴かせどころ」を鮮明に打ち出している点が見事です。 だからこれほどまでに歌が生きてくるのでしょう。 |
|||||
ラスト付近の打ち込みは、花火のように一瞬の燦めきを見せますが、この音を聴くと、なぜか満ち足りた気持ちで歌を見送ることができます。 まさに完全燃焼、感動の名曲ですね!!
初めて「ユア・マイ・ライフ」に出会ったとき、ここに矢野さんの「アレンジャー魂」を見た思いでした。 【 第31回、日本レコード大賞金賞受賞曲(1989年)】 |
|||||
【 荻野目洋子 / アンダー・ザ・ボードウォーク 】 |
「アンダー・ザ・ボードウォーク」もまた、「ユア・マイ・ライフ」に負けず劣らず感動のアレンジ。 これは、1964年、黒人ボーカル・グループ「ザ・ドリフターズ」が大ヒットさせた曲で、日本では柳ジョージなども歌っていますが、荻野目ヴァージョンは、矢野さんの個性を感じさせる爽やかなアレンジが魅力です。 |
|||||
イントロは、日の光を受けて、キラキラ、キラキラ揺れる波。 バックコーラスは、髪をなでる潮風。 リズムとメロディが、ゆっくりと時間の流れを変えていくような感じで、この歌を聴いていたらすべての現実を忘れてしまいそうです。 |
|||||
楽器とヴォーカルとコーラスが、まるで印象派の絵の色使いを思わせるようなタッチでミックスされていて、矢野さんが作り出した空間が、形としてはっきりこの目に見えてくるのがわかります。 それは美しすぎる、眩しすぎる空間です。 |
|||||
◆1◆ CDアルバム ◆ 荻野目洋子 「 History 」 1995年 (VICL-40121〜122) |
曲番号 | 曲名 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
DISC.1(#10) | ユア・マイ・ライフ (YOU'RE MY LIFE) | James Christain 日本語詞 売野雅勇 |
矢野立美 | |
DISC.2(#1) | アンダー・ザ・ボードウォーク (UNDER THE BOARDWALK) ★NEW VOCAL LIVE MIX |
Arthur Resnick & Kenny Young 日本語詞 さかたかずこ |
矢野立美 |
◆2◆ CDアルバム ◆ 荻野目洋子 「'91 OGINOME COLLECTION」 1990年(VICL-85) |
曲番号 | 曲名 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
11 | 湘南ハートブレイク | 売野雅勇 | 大田黒裕司 | 矢野立美 |
12 | ユア・マイ・ライフ (YOU'RE MY LIFE) | James Christain 日本語詞 売野雅勇 |
矢野立美 |
◆3◆ CDシングル ◆ 荻野目洋子 「ユア・マイ・ライフ」 1989年 (VDRS-1183) |
曲番号 | 曲名 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
ユア・マイ・ライフ (YOU'RE MY LIFE) | James Christain 日本語詞 売野雅勇 |
矢野立美 | ||
C/W | ピンク・サファイア (PINK SAPPHIRE) | 亜伊林 | 石川恵樹 | 矢野立美 |
◆4◆ CDアルバム ◆ 荻野目洋子 「Fair Tension」 1989年 (VDR-1645) |
曲番号 | 曲名 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
1 | 情熱 | PANTA | 鈴木キサブロー | 矢野立美 |
3 | アンダー・ザ・ボードウォーク (UNDER THE BOARDWALK) |
Arthur Resnick & Kenny Young 日本語詞 さかたかずこ |
矢野立美 | |
10 | ユア・マイ・ライフ (YOU'RE MY LIFE) ★ ALBUM MIX |
James Christain 日本語詞 売野雅勇 |
矢野立美 |
◆ ヴァージョン違いについて ◆ |
【ユア・マイ・ライフ】 上記CDのうち◆1◆、◆2◆、◆3◆は、同一ヴァージョンですが、◆4◆のみ「ALBUM MIX」が収録されています。 けれども、この「ALBUM MIX」は、一箇所、荻野目さんの声が出し切れていない部分があるうえ、ミックスが違うため、印象的なピアノパートの魅力が十分に引き出されていません。 ですから、◆4◆のアルバムは残念ながらお薦めとはいえないような気がします。 尚、私は所持していませんが、荻野目さんの歌で、この曲を別の方がアレンジしたヴァージョンも存在します。 【アンダー・ザ・ボードウォーク】 非常に素晴らしい二曲だけに、ファンとしては実に残念な思いです。いつの日か、◆1◆「History」の修正版を製作していただきたいと心から願っています。 |