戦中、戦後の流行歌なのに、全く古くささを感じさせないサウンド。　時代の壁を打ち破るように、フレッシュに蘇った昭和の流行歌に拍手喝采です。

　歌詞も当時の世相を感じさせる点が面白いですね。

　まさに目からウロコの作品群です。

　突然耳に飛び込んでくるクレイジーなギター。　それに続く、コーラスとリズムが最高！　今風のものとは全く違うノリが却って新鮮で魅力的。

　「イカ天風アレンジ」と解説に書いてあるのですが、どういうものなのでしょうね。　是非教えていただきたいものですが、どちらにしても、とにかく明るい！　元気爆発！

　高峰秀子さんの元歌はもう少し抑えた曲調ですが、木村ワールド的に歌われちゃったら　……　いやぁ、ハマります！　　女性のバックコーラスも抜群。　当時の銀座ッ娘の心意気が伝わってくるようですね。

　エリック宮城さんの陽気なトランペットが抜群の冴えをみせる曲！

この曲を聴いた瞬間、エリックさんに一目惚れしてしまったという、それはそれは素晴らしいトランペットです。

　最初はバラバラに音を奏でる楽器たち。　思い思いのリズムで踊るうち、次第に仲間の存在に気づいて集まってくる。　やがて広場はカーニバル。　中でもひときわ、ハイに、ホットに歌うのはトランペット。　このトロピカル・サウンドは、一度味わったら忘れられない。たちまち虜になってしまいます。

　何とも不思議なノリの歌ですが、たくさんの楽器たちの絶妙なバランス感覚と、パワフルなトランペットに対抗するには、やっぱりこのリズムしかない、と思えてきます。　本当にユニークなアレンジですね。

　何という、繊細なアレンジ。　スチール・ドラムの音色が哀しいですね。　歌詞に綴られた憐れな境遇に似合いすぎる音。　イントロと間奏のメロディの優しさが、歌の切なさを一層際立たせています。

★　星の流れに　★

　胸に染みる哀歌。　木村さんの掠れた歌声がよけいに涙を誘いますが、こんな味わいを出せるのは、やはりこの方しかいないでしょうね。　さり気ないギターも綺麗です。　本当に哀しい歌ですが名曲です。

　歌詞と木村さんの声が絶妙に絡む、まさに、喜劇の世界。原曲「ダイナ」をパロディ化したサトーハチローさんの歌詞がナイスですね。

　ソフトタッチのピアノもとてもお洒落。
「ダンナ、横びんた頂戴ナ」の瞬間に入るシンバルは心憎いばかり。　洋楽風の軽快なアレンジがお気に入りです。

　西島三重子さんとのデュエットが光ってますね。　今の時代では見られない夫婦の光景が瞼に浮かんできます。

　もしも月給が上がったら、「パラソル買いたいわぁ〜」とか「ポータブルなども買いましょう」とか　……　今や死語となった言葉が何とも可笑しく魅力的。

　ユーモラスなバイオリンとチューバ、それに昔風のリズムもいいですねぇ。